綾瀬川繪図面巻子

代々地元にいらっしゃるお客様が、蔵から出てきたとお持ちになった「綾瀬川繪図面」を巻子(かんす:巻物)に仕立てさせていただきました。お客様によれば、現在の東武動物公園のあたりから取水し、隅田川までの綾瀬川を描いたもの、とのことです。現在まで引き継がれている地名が多々あり、興味深く作業させていただきました。
- カテゴリ
- 本格表装
- 表具種類
- 巻子(かんす:巻物)
- 掛軸サイズ
- 幅約360mm×高さ約4500mm
(軸先間約390mm) - 参考価格
- ¥45,000
- 基本料金
- ¥18,000(4尺/約120cmまで)
- 追加料金
- ¥3,000/尺(約30cm)
作品

- 作品名
- 綾瀬川繪図面
- 作品サイズ
- 幅約300mm×高さ約4000mm
- 作者
- 不明
長さは13尺(約4メートル)あり、文政13年との記述がありますので、オリジナルであれば1830年頃のものですが、巻末にごく小さな文字で「埼玉新報社」の記述があったため、残念ながら印刷された複製品と思われます。印刷所の住所は「東京市」でしたので、複製も大戦前のかなり古いもの、ということになります。本体はかなり茶色くなっておりますが、洋紙のようです。
作品の状態

ご覧のように部分的に剥がれています。このまま部分的な補修をすると、まっすぐにならない可能性もあるので、できれば剥がしたいところですが、糊が水溶性ではないようで、剥がすのは大変そうです。また、部分的に水分を与えると、水分が染み込んだ境目に輪ジミができるため、全体を洗わなければならなくなります。今回は約4メートルもの長尺ですので、直線を出すため、はがして洗い、つなぎ直すことにいたしました。全体の曲がりが大きいと裁断しなければいけない部分も大きくなりますが、描画が用紙いっぱいの部分もあり、なるべく切らないようにしたかったためです。糊は見立て通り水溶性ではありませんでしたので、剥がすのには苦労しました。
巻いた様子

表紙には宝尽くしの文様の緞子を使用しました。表紙裏は蒔絵や金砂子が標準ですが、当店では千代紙を使います。本紙周りは流水柄の緞子、軸及び軸先は専用のものではなく、掛軸用のものを流用しています。巻物は本来観賞用ではなく保存用で、長さが長いので専用の軸は細くなっておりますが、この程度の長さでは巻きグセがつきにくい方が好ましいとの判断です。思えたからです。お客様にはたいへん喜んでいただきました。その後、絵図面のみの複製を印刷させていただきました。